こんにちは。
先日読んだ、「まだ間に合う」でなるほど、と思った話です。
なお、著者は慶応大学出身の外交官の人で大使まで勤めた人で、外交官のキャリアとしては珍しいな~と思いましたが、調べて見たら伊藤博文の孫の子供でした。それだけで納得してしまいました。
まだ間に合う著者は社会人として常に頭の片隅に置いておくべきこととして「ちょっと待て、本当かな?」をあげています。なるほど、と思いました。
そして外交官ならではの外交的の通説2つに問題を投げ掛けます。
一つは城山三郎の小説で悲劇の主人公になっている広田弘毅で、彼は総理のとき、軍部に必死に抵抗していなかったのでは?というものです。
確かに同時期に軍部の主張とあわないために総理になれなかった宇垣一成や広田と外務省入省同期で軍部ににらまれて監獄まで入れられていた吉田茂と比べると、軍部の主張と反していたなら広田は総理になれたわけがない、という主張は、うなずけるものがあります。
もう一人は山本五十六、真珠湾を叩きできるだけ早く講和に持ち込む、との作戦の立案者ですが、米国の心情を考えれば出先の一つに過ぎないハワイの軍港がやられたからといって自信を失い講和に応じるなんて考えるわけがなく、米国駐在経験があり国力の差を十分認識している山本が本気で考えるわけがない、たまたま言葉の綾で言った発言に縛られて太平洋戦争に突入してしまったのでは、というものです。彼がむしろ、絶対負けるから海軍は戦争に参加しない、と言っていれば違う未来があったかもしれないとまで述べています。
これも通説では「さすが山本五十六!」になっていますが全くそのとおりだと思いました。
何気なく読んだ本でしたが、この本なかなか面白かったです。